犬・猫の食物アレルギー検査では何が分かる?

犬・猫の食物アレルギー検査では何が分かる?

犬・猫の食物アレルギー検査で分かるのは、食物に対する反応の可能性や、避ける候補となる原材料です。ただし、血液検査などの結果だけで「食物アレルギーがある」と確定できるとは限りません。

実際の診断では、獣医師の指示で特定の食事だけを一定期間与え、症状が改善するかを確認します。その後、元の食事に戻して症状が再び出るかを調べる「食物負荷試験」まで行い、食事との関係を判断します。

犬・猫の食物アレルギー検査で分かること

検査によって分かる内容は、検査方法によって異なります。代表的には、血液を使って特定の食物に反応する抗体を調べる検査があります。

  • 特定の食材に対する抗体反応が検出されるか
  • 食物アレルギーの候補となる原材料
  • 食事以外のアレルギーも含めた、症状の原因を考える手がかり

ただし、抗体が検出されたからといって、その食材を食べると必ず症状が出るとは限りません。反対に、検査で反応が出なかった食材でも、実際に食べると症状が出ることがあります。

そのため、検査結果は診断を補助する情報として扱い、症状の経過や食事内容、除去食への反応と合わせて判断します。

血液検査だけで食物アレルギーを確定できる?

血液検査だけで確定することはできません。血液検査は採血で調べられる利点がありますが、検査で測る抗体の種類や測定方法が、実際の症状と必ず一致するとは限らないためです。

犬や猫では、食物アレルギーの診断に血液検査を利用することがあります。しかし、結果だけを根拠に多くの食材を一度に除外すると、食事の選択肢が必要以上に狭くなったり、栄養の偏りにつながったりする可能性があります。

検査を受ける場合は、結果を受け取った後に「どの食材を、どの期間避けるのか」「何を食べてよいのか」を獣医師に確認してください。

食物アレルギーの診断で中心になる除去食試験

食物アレルギーが疑われる場合は、食事から疑わしい原材料を外し、症状が変化するかを確認します。これを除去食試験といいます。

  1. 獣医師と相談し、これまで食べていない原材料や、たんぱく質を細かく分解した療法食などを選びます。
  2. 指定された期間、その食事と水以外を与えないようにします。
  3. 皮膚のかゆみ、赤み、外耳炎、嘔吐、下痢などの変化を記録します。
  4. 症状が改善した場合は、必要に応じて以前の食事や原材料を再び与え、症状が戻るかを確認します。

除去食試験では、数日で判断できるとは限りません。皮膚症状では効果の判定まで数週間かかることがあるため、期間は症状や動物の状態に応じて獣医師が決めます。

症状が改善した後に元の食事で再発すれば、食事が症状に関係している可能性が高まります。この再発確認まで行うことで、単に「新しい食事に変えたら症状がよくなった」というだけの場合と区別しやすくなります。

除去食試験中に避けるもの

除去食試験では、主食以外の食べ物が結果に影響します。次のようなものも、自己判断で与えず、獣医師に確認してください。

  • おやつやトレーニング用のごほうび
  • 人の食べ物
  • 味の付いた薬やサプリメント
  • 他の犬・猫のフード
  • 散歩中に拾い食いしたもの

家族の誰かが別のおやつを与えていたり、複数の動物で食器を共有していたりすると、除去食試験を正しく評価できないことがあります。食べたものを日付とともに記録すると、診察時に経過を伝えやすくなります。

犬と猫で見られる食物アレルギーの症状

食物アレルギーでは、皮膚や消化器に症状が出ることがあります。ただし、これらはノミ、環境中のアレルゲン、感染症、寄生虫、消化器の病気などでも起こるため、症状だけで食物アレルギーとは判断できません。

症状が出る場所 見られることがある症状
皮膚・耳 かゆみ、赤み、脱毛、皮膚炎、外耳炎
消化器 嘔吐、軟便、下痢、排便回数の変化
全身 食欲や元気の変化など

顔や口の周り、足先、耳などをかゆがることもありますが、症状が出る部位だけで原因を特定することはできません。皮膚の感染やノミ・ダニなど、別の原因を同時に調べる場合もあります。

検査前に獣医師へ伝えること

診断には、検査結果だけでなく、これまでの食事と症状の経過が役立ちます。受診前に次の内容を整理しておくと、食物アレルギーの可能性を検討しやすくなります。

  • 現在のフードの商品名と原材料
  • 過去に食べたことのあるフードや主な食材
  • おやつ、人の食べ物、サプリメントの種類
  • 症状が始まった時期
  • 症状が食事の変更後に悪化・改善したか
  • 嘔吐や下痢、耳の症状、皮膚のかゆみの頻度
  • ノミ・ダニ予防や、これまでの治療内容

皮膚や便の状態は、写真や記録があると変化を比較しやすくなります。食事を検査前に何度も変更すると、どの食材が影響したのか分かりにくくなるため、変更する前に相談することが大切です。

市販の検査キットや検査結果を見るときの注意点

自宅で採取した毛や唾液などを使う検査では、結果が出ても、それだけで食物アレルギーを診断できるとは限りません。検査が何を測定しているのか、犬・猫で診断に利用できる根拠があるのかを確認する必要があります。

検査結果に多くの食材が「陽性」と表示されても、すべてを食事から除く必要があるとは限りません。極端な食事制限は栄養不足を招くおそれがあるため、結果を持って動物病院で相談してください。

すぐに動物病院を受診したほうがよい症状

食物アレルギーを疑っていても、呼吸が苦しそう、顔や喉が急に腫れた、繰り返し吐く、ぐったりしているなどの症状がある場合は、検査を待たずに受診してください。急な症状は食物以外の原因を含め、早い対応が必要なことがあります。

慢性的なかゆみや下痢が続く場合も、自己判断で食事を制限し続けず、食事内容と症状の記録を持って動物病院に相談しましょう。

犬・猫の食物アレルギー検査は、食材に対する反応の候補を知るための補助的な検査です。検査結果だけで決めず、獣医師の管理のもとで除去食試験と症状の再発確認を行うことが、食事との関係を判断する基本的な方法です。