猫の下痢は、食事の変化やストレスのような一時的な原因から、寄生虫、感染症、消化器の病気、異物や中毒までさまざまです。元気や食欲があり、軟便が1回程度なら短時間の経過観察ができる場合もありますが、血便・嘔吐・ぐったりしているなどの症状があれば、早めに動物病院を受診してください。
猫の下痢で受診する目安
受診の緊急度は、下痢の回数だけでなく、便の状態、元気・食欲、年齢、持病の有無で判断します。
| 状態 | 受診の目安 |
|---|---|
| 血が混じる、黒いタール状の便が出る | 早急に受診。量が多い、繰り返す場合は救急対応を検討 |
| 何度も水のような下痢をする | 脱水のおそれがあるため、当日中の受診を検討 |
| 嘔吐、腹部を痛がる、ぐったりしている | 早急に受診 |
| 食べない、水も飲まない | 早めに受診。子猫や高齢猫では特に急ぐ |
| 誤食、中毒、ひも・おもちゃなどの異物が疑われる | 症状が軽くても、すぐに動物病院へ相談 |
| 元気と食欲があり、軟便が1回程度 | 水分を取れるか確認しながら短時間観察。ただし改善しない場合は受診 |
成猫で元気がある場合でも、下痢が24時間ほど続く、何度も繰り返す、悪化するときは、動物病院に相談してください。子猫、高齢猫、持病がある猫、治療中の猫は悪化しやすいことがあるため、軽い下痢でも早めの受診が安全です。
猫の下痢で考えられる主な原因
猫の下痢の原因は、食事、感染、寄生虫、ストレス、内臓の病気などに分けて考えられます。便だけでは原因を特定できないため、続く場合は診察や便の検査が必要です。
急な食事の変化や食べ過ぎ
フードを急に切り替えた、普段と違うものを食べた、食べ過ぎたといった場合、消化が追いつかず下痢になることがあります。人の食べ物や脂肪分の多いものを食べた場合も、胃腸に負担がかかることがあります。
新しいフードが原因と思われても、下痢が続く場合や元気・食欲が落ちている場合は、別の病気が隠れている可能性があるため受診してください。
ストレスや環境の変化
引っ越し、来客、騒音、同居動物との関係、通院などのストレスで、一時的に便がゆるくなる猫もいます。ただし、ストレスがきっかけに見えても、下痢が長引く場合は他の原因を確認する必要があります。
寄生虫や感染症
回虫などの寄生虫、細菌やウイルスなどの感染症でも下痢が起こります。子猫や保護されたばかりの猫、多頭飼育の環境では、寄生虫や感染症が関係していることがあります。
寄生虫は外見だけで判断できないことがあるため、動物病院では便を調べて確認します。多頭飼育の場合は、他の猫にも症状がないか確認し、トイレを清潔に保ってください。
毛球や異物の誤食
毛球や、ひも、ビニール、包装材、おもちゃなどを飲み込むと、下痢だけでなく嘔吐や食欲不振、腹痛を起こすことがあります。特にひも状のものは腸に絡む危険があるため、口や肛門から見えていても無理に引っ張らないでください。
消化器や全身の病気
腸の炎症、食物アレルギー、膵臓・肝臓・腎臓の病気、甲状腺の病気などでも下痢が起こることがあります。慢性的に下痢を繰り返す、体重が減る、食欲の変化があるといった場合は、早めに診察を受けてください。
下痢の状態から分かること
便の色や形は受診時の重要な情報ですが、便の状態だけで病気を断定することはできません。
- 黄色や緑色の便:食事内容や腸内の通過時間などが関係することがあります。
- 赤い血が付く便:肛門に近い腸からの出血などで見られることがあります。
- 黒くタール状の便:消化された血液が混じっている可能性があり、早めの受診が必要です。
- 粘液が混じる便:大腸の炎症などで見られることがあります。
- 白っぽいものや虫のようなものが混じる便:寄生虫などの可能性があるため、便を持参して相談します。
可能であれば、便の写真を撮り、便の一部を清潔な袋や容器に入れて動物病院へ持参してください。採取した便が検査に使えるかは病院に確認し、時間がたちすぎた便は避けてください。
受診までにできること
受診までの間は、猫の様子を観察しながら、脱水や症状の悪化がないか確認します。
- 下痢をした時刻、回数、色、血や粘液の有無を記録する。
- 水を飲めているか、尿が出ているかを確認する。
- 食べたもの、フードを変えた時期、誤食の可能性を整理する。
- 便の写真を撮り、可能であれば新しい便を持参する。
- 他の猫がいる場合は、症状のある猫の食器やトイレを分け、排せつ物を速やかに片付ける。
食事を長時間抜くと、猫の体調に悪影響が出ることがあります。自己判断で絶食を続けず、食事の量や内容は動物病院に相談してください。水を飲ませるために無理に口へ流し込むのも避けます。
人用の下痢止めや痛み止め、市販薬を自己判断で与えてはいけません。猫に有害な成分が含まれている場合や、異物・中毒などの原因を見逃す場合があります。
動物病院で伝えること
診察では、下痢が始まった時期と回数だけでなく、次の情報も伝えると原因の確認に役立ちます。
- 年齢、体重、持病、現在の治療内容
- 食欲と水を飲む量の変化
- 嘔吐、発熱のような様子、腹痛、元気の低下の有無
- フードやおやつを変えた時期
- 誤食や外出、他の動物との接触の可能性
- ワクチン接種や寄生虫予防の状況
必要に応じて、便検査、血液検査、画像検査などを行います。検査内容は猫の年齢や症状によって異なるため、獣医師の説明を聞いて判断してください。
猫の下痢は「元気・食欲」と「続く時間」で判断する
猫の下痢が1回だけで、元気と食欲があり、他の症状がなければ短時間の観察ができる場合があります。一方、血便、黒い便、繰り返す嘔吐、脱水、腹痛、ぐったりしている様子がある場合は、早急な受診が必要です。
まずは下痢の回数と便の状態を記録し、水を飲めているか、普段どおり動けているかを確認してください。子猫や高齢猫、持病のある猫、症状が続く猫は、自己判断で様子を見続けず動物病院へ相談しましょう。







